2017年8月6日日曜日

170806 輸液を楽しく (土曜日講義 ベテラン先生の講義)

輸液を負荷する:低血圧
輸液負荷か血管収縮薬か

Pms 平均体血管充満圧、(約10mmHg)
Pmsが上昇すると静脈かん流量が上昇する
静脈かん流、心拍出量、血圧

輸液をすると血圧が上昇する

血液ヘモグロビン値変化によるvolume kinetics analysis
Hahn RG. Volume kinetics for infusion fluids. Anesthesiology. 2010;113:470-81.PMID: 20613481.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20613481
血圧が高い状態で輸液すると血管外に漏出しやすい

スターリングの式
細胞間室の膠質浸透圧
revised グリコカリックス直下の膠質浸透圧

毛細血管圧(Pc)が低い場合は濾過量の主因子はPc
毛細血管圧高いとき 主因子はπc血管外の毛細血管圧

血漿増量効果はPc低いと晶質液≒膠質液

血管緊張と毛細血管圧
毛細血管圧は血管収縮と平行して動かない:血管収縮による毛細血管圧は必ずしも上昇しない

シナリオ
①麻酔導入後の低血圧
血液の体内分布:静脈系に60-70%の血液分布
静脈コンプライアンスは血管収縮と血管拡張ではことなる
麻酔導入後の輸液負荷はあまり意味がない:効果的ではない
昇圧薬の投与

②出血量が増加
HESによる輸液
HESの血漿増量効果は一定ではない
Chappell D. A rational approach to perioperative fluid management. Anesthesiology. 2008;109:723-40. PMID: 18813052.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18813052

スターリングの式の変法からは
毛細血管圧が低下している出血時には輸液は晶質液と膠質液で差がない
毛細血管圧が上昇してきたら膠質液が効果的である

③長時間手術
低血圧
capillary leakage 炎症が起こってくるとグリコカリックスの構造が変化して血管外へ
水分が血管外へ漏出する
ある程度膠質液で容量負荷、昇圧薬の投与
Komori M. Effects of colloid resuscitation on peripheral microcirculation, hemodynamics, and colloidal
osmotic pressure during acute severe hemorrhage in rabbits. Shock. 2005
;23:377-82. PMID: 15803063.

fluid challenge 3ml/kg 5分間
輸液反応性
Mallat J. Decrease in pulse pressure and stroke volume variations after mini-fluid challenge accurately predicts fluid
responsiveness†. Br J Anaesth. 2015;115:449-56. PMID: 26152341.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26152341

低血圧による診断
3ml/kg (5min)
上昇すれば血管拡張がなく循環血液量減少状態ということ:輸液負荷を続ける
血圧が低下する:血管収縮していて循環血漿量も減っている:輸液負荷続ける
不変:前負荷が増えていない:血管が広がっている場合か高度な炎症があって漏出する場合
血管拡張の場合はフェニレフリンで血圧上昇する
血管透過性亢進している場合はフェニレフリンだけではだめ

絶対的な循環血漿量減少
相対的と絶対的
麻酔、敗血症、炎症性浮腫、出血
相対的な場合には血管収縮薬と輸液

2017年8月3日木曜日

170803 吸入麻酔薬の特性 (ベテラン先生のお話)

MAC セボフルラン 1.71 最近のミラーでは?
血液ガス分配係数 セボフルラン0.69  デスフルラン 0.45
0.7MAC ageにすると術中覚醒しない

MAC ageの求め方
MAC age = MAC40 x 10^(-0.00269x (年齢-40))

MAC = a x 10bx
x = difference in age (in years) from 40
b = -0.00269 (95% confidence limits (CL) -0.0030, -0.0024)
a = MAC at age 40 yr, which, for anaesthetics currently in use clinically, is given by: halothane, 0.75%; isoflurane, 1.17%; enflurane, 1.63%; sevoflurane, 1.80%; desflurane 6.6%; nitrous oxide, 104%; with 95% CL of approximately +/- 7% (+/- 10% for desflurane, +/- 17% for enflurane).
Mapleson WW. Effect of age on MAC in humans: a meta-analysis. Br J Anaesth. 1996 Feb;76(2):179-85. PubMed PMID: 8777094.

実はずいぶん以前に以下のブログに書かれてました。
http://knight1112jp.at.webry.info/201301/article_64.html

年齢と吸入麻酔薬のMACは...

ミラーの麻酔科学より

2017年7月28日金曜日

170728 慢性期脊髄損傷患者における 麻酔の必要性、及び注意点(研修医の先生のプレゼン)

慢性期脊髄損傷患者の手術では、無知覚領域での侵害刺激により、異常高血圧や反射性徐脈などを徴候とする自律神経反射亢進(autonomatic  hyperreflexia:AH)がみられることがある。
無知覚領域であってもAHをコントロールする目的で、全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔などの麻酔管理が必要になる。

[主な臨床症状]
異常高血圧、反射性徐脈
頭痛、発汗、顔面紅潮。

*特に突発性の異常高血圧は、脳出血や不整
  脈など生命を脅かす重大な合併症をきたす
  可能性があるので、術中は厳重な麻酔管理
  が必要。

[手術侵襲以外の原因]
膀胱充満、便秘による腸管拡張、カテーテル留置や挿入・抜去

AHによる循環動態の変化を抑制するために

①末梢からの求心性の刺激をブロック
  →オピオイド(フェンタニル、レミフェンタニル)を用い
   脊髄後角のμ受容体に作用

②十分な鎮静を保ち中枢の興奮を抑制
  →プロポフォールや吸入麻酔薬を用いた鎮静
   ※鎮静度の評価のためBISモニター装着

LISA VOL.21  NO12  2014-12  脊髄損傷患者の麻酔
The  Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia Vol.30 No.3,2010
脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン
www.jscf.org/SIRYOU/ssk02/yyc11.htm

170728 局所麻薬中毒の発生状況 (研修医の先生のプレゼン)

【頻度】
末梢神経ブロック・・・7.520/10000例(0.075%0.2%
硬膜外ブロック・・・4/10000例(0.04%
本邦における19992002年の麻酔管理430万症例中
 危機的な偶発例・・・784
 麻酔が原因とされる死亡・・・19例(1例は局所麻酔薬中毒)

【内容】
1;麻酔薬の不適切な選択や過剰投与・・・555例(70.8%
2;高位脊髄くも膜下麻酔・・・140例(17.9%
3;局所麻酔薬中毒・・・50例(6.4%
4;アンプルや注射器の間違い・・・34例(4.3%
5;不適合輸血・・・5例(0.6%

【分類】
誤って、直接血管内に注入(誤注入)された場合・・・即時型中毒
  いきなり痙攣や循環抑制が発現する可能性
極量を超えるなど過剰投与されることにより、
 血中濃度が徐々に上昇した場合・・・遅延型中毒
  段階的に中毒症状が発現

【対処法】
一般的に、中枢神経毒性は心毒性に先行して発現
 ・局所麻酔薬の投与中止
 ・マスクによる酸素投与
 ・興奮症状の進行の把握+適度な換気

痙攣発生時
 ・100%酸素投与による過換気
 ・抗痙攣薬としては、ベンゾジアゼピン系が第一選択

痙攣継続により気道確保が困難な場合
 ・スキサメトニウム:1mg/kg静注して気管挿管

【心毒性に対する対処法(例)】
〈対処法〉
 ・100%酸素を投与し、人工呼吸を行う
 ・血圧低下にはエフェドリン、徐脈にはアトロピンが第一選択

 ・心停止時
   二次救命処置
    蘇生薬として、アドレナリンやバソプレシンをはじめ様々な
     薬剤の有用性が検討された
   
【局所麻酔薬中毒発生時の脂肪乳剤の投与法】                    
近年、脂肪乳剤を用いた対処療法(Lipid therapy)が有望な蘇生法として提唱されている。 
20%脂肪乳剤の投与法
1.5ml/kg(100ml)を約1分かけて投与
0.25ml/kg/min(17ml/min=1000ml/h)で持続投与開始
・5分後
 循環の改善が得られなければ、再度1.5ml/kg(100ml)を投与
 同時に持続投与量を2倍の0.5ml/kg/min(2000ml/h)に上昇
・さらに5分後
 再度1.5ml/kg(100ml)を投与(bolus投与は3回が限度)
・循環の回復・安定後もさらに10分間は脂肪乳剤の投与を継続
 最大投与量の目安は12ml/kg
()内は体重70kgの場合

局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド参照
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2017年7月25日火曜日

170725 PONV:Postoperative Nausea and Vomiting (研修医の先生のプレゼン)

術後24時間以内のNausea and/or Vomiting
・術後嘔吐の発生率:約30%
・術後嘔気の発生率:約50%
・高リスク患者におけるPONV発生率:約80%

PONV管理のためのアルゴリズム
 ①PONVリスク因子の評価を行う
 ②PONV発生のベースラインリスクを減少させる
 ③リスクを考慮して、制吐薬を選択する
 ④PONV発生時の制吐薬を選択する

PONV危険因子
患者(成人)要因 (Apfelのスコアリング)
①女性
②非喫煙者
③PONVまたは乗り物酔いの既往
④術後オピオイドの使用     
      + 50歳未満

患者(小児)要因
 小児は成人の2倍の頻度で発生
①3歳以上
②30分以上の手術
③斜視手術
④PONVの家族歴

麻酔要因
①全身麻酔
②揮発性麻酔薬の使用
③揮発麻酔による長時間手術
④ハイリスク患者に対する笑気の使用
⑤術後のオピオイド使用
手術要因
成人:胆嚢摘出術、婦人科処置、腹腔内手術
小児:斜視手術、扁桃摘出術

•麻酔方法
•セロトニン受容体拮抗薬
•デキサメタゾン
•ドロペリドール
•ニューキノロン受容体拮抗薬
•抗コリン薬
•ドパミン受容体拮抗薬
•日本で保険適応がある薬剤
•予防ほどの有効性はない
•セロトニン受容体拮抗薬が最も用いられている
•日本ではメトクロプラミドの使用が多い

予防
麻酔方法
 ①可能な症例は局所麻酔で行う
 ②吸入麻酔
   プロポフォールによるTIVAを行う
 →高リスク群におけるPONV発生率約25%低下
 ③術後のオピオイド使用を最小限に
   ・NSAIDsによる鎮痛
   ・局所麻酔薬のみによる硬膜外麻酔

PONV予防
 - メトクロプラミド
 - プロクロルペラジン
 - ヒドロキシジン

PONV発症してしまったら
予防ほどの有効性はない

セロトニン受容体拮抗薬が最も用いられている
日本ではメトクロプラミドの使用が多い

2017年7月24日月曜日

170724 希釈式自己血輸血 (研修医の先生のプレゼン)

2016年希釈式自己血輸血 保険適応に認可
同種血輸血、自己血輸血
TRIM 輸血による免疫力の低下 Th1リンパ球活性低下:細胞障害障害機能がおちる

Transfusion free medicine
Blood conservation
Atutologous transfusion

貯血式、回収式、希釈式

貯血式:全血、RBCとFFP、凍結

全身麻酔導入後、1回は400mlが上限、採血量と等量の代用血漿剤、希釈後のヘモグロビンは7-8

貧血が強い場合を除き、緊急手術にも対応

採血の間、麻酔時間が長くなる

2017年7月13日木曜日

170713 気管挿管と嚥下障害

気管挿管の合併症
気管挿管に関連する摂食嚥下障害の原因
挿管操作、不適合チューブ、カフの過膨張
長期挿管

反回神経麻痺:不顕性誤嚥、肺炎の原因、全身麻酔を施行した0.3%が挿管性反回神経麻痺
咽頭痛・喉頭浮腫

長期気管挿管48時間以上
咽頭、喉頭の廃用性変化、全身状態の悪化
Barker J. Ralph-Edwards A. Incidence and impact of dysphagia in patients receiving prolonged endotracheal intubation after
cardiac surgery. Can J Surg. 2009;52:119-24. PubMed PMID: 19399206

嚥下障害の症状:
痰がのどによくたまる、唾液が多いと感じる、食事中や食後にむせるようになった、咳払いが増えた、飲み込む時に引っかかる感じがする

スクリーニングテスト
反復唾液嚥下テストRSST 30秒間に空嚥下できる回数をカウント 2回以下を異常とする
空嚥下:中指でのどぼとけ(甲状軟骨)を人差し指で舌骨で蝕知する。飲み込んだときに舌骨が人差し指をしっかり超えたら、一回と数える、動いただけではだめ

発見したら....
リハビリテーション科 言語聴覚氏による嚥下機能評価、嚥下機能訓練
歯科口腔外科 歯科衛生士による口腔ケア

感想:私も最近嚥下障害の症状が出てきている。加齢による誤嚥ともオーバーラップするのであろう。