2017年7月28日金曜日

170728 局所麻薬中毒の発生状況 (研修医の先生のプレゼン)

【頻度】
末梢神経ブロック・・・7.520/10000例(0.075%0.2%
硬膜外ブロック・・・4/10000例(0.04%
本邦における19992002年の麻酔管理430万症例中
 危機的な偶発例・・・784
 麻酔が原因とされる死亡・・・19例(1例は局所麻酔薬中毒)

【内容】
1;麻酔薬の不適切な選択や過剰投与・・・555例(70.8%
2;高位脊髄くも膜下麻酔・・・140例(17.9%
3;局所麻酔薬中毒・・・50例(6.4%
4;アンプルや注射器の間違い・・・34例(4.3%
5;不適合輸血・・・5例(0.6%

【分類】
誤って、直接血管内に注入(誤注入)された場合・・・即時型中毒
  いきなり痙攣や循環抑制が発現する可能性
極量を超えるなど過剰投与されることにより、
 血中濃度が徐々に上昇した場合・・・遅延型中毒
  段階的に中毒症状が発現

【対処法】
一般的に、中枢神経毒性は心毒性に先行して発現
 ・局所麻酔薬の投与中止
 ・マスクによる酸素投与
 ・興奮症状の進行の把握+適度な換気

痙攣発生時
 ・100%酸素投与による過換気
 ・抗痙攣薬としては、ベンゾジアゼピン系が第一選択

痙攣継続により気道確保が困難な場合
 ・スキサメトニウム:1mg/kg静注して気管挿管

【心毒性に対する対処法(例)】
〈対処法〉
 ・100%酸素を投与し、人工呼吸を行う
 ・血圧低下にはエフェドリン、徐脈にはアトロピンが第一選択

 ・心停止時
   二次救命処置
    蘇生薬として、アドレナリンやバソプレシンをはじめ様々な
     薬剤の有用性が検討された
   
【局所麻酔薬中毒発生時の脂肪乳剤の投与法】                    
近年、脂肪乳剤を用いた対処療法(Lipid therapy)が有望な蘇生法として提唱されている。 
20%脂肪乳剤の投与法
1.5ml/kg(100ml)を約1分かけて投与
0.25ml/kg/min(17ml/min=1000ml/h)で持続投与開始
・5分後
 循環の改善が得られなければ、再度1.5ml/kg(100ml)を投与
 同時に持続投与量を2倍の0.5ml/kg/min(2000ml/h)に上昇
・さらに5分後
 再度1.5ml/kg(100ml)を投与(bolus投与は3回が限度)
・循環の回復・安定後もさらに10分間は脂肪乳剤の投与を継続
 最大投与量の目安は12ml/kg
()内は体重70kgの場合

局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド参照
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